Darwin Room - BLOG 好奇心の森「ダーウィンルーム」公式日記

好奇心の森「ダーウィンルーム DARWIN ROOM」は、教養の再生(LIBERAL ARTS LAB)を理念に、選りすぐりの古書と動物剥製などの 標本や、研究生活に便利な道具の販売と、専門家を招いたリベラルアーツ・カフェを行うユニークな1階がショップ、2階がラボです。

2013年02月

少し感動したことを書きます。
「ハンドサイン(HAND SIGN)」という2005年に結成されたパフォーマンス・グループがあります。
な、なんとダンスに手話を取り入れてオリジナルの手話ダンスのパフォーマンスをしているんですよ!
それは、耳の聞こえない人には目で見て分かるメッセージを発信し、誰もが楽しめる音楽、ダンスの楽しさを伝えたいのだそうです。
彼らが2009年大きく飛躍する、ニューヨークのアポロシアター(マイケル・ジャクソンらも潜った音楽の登竜門)アマチュアナイトTop Dogに挑戦をしました。そしてそれに初出場で優勝をしてしまう離れ技をやってしまったのです。その後継続的に入賞し、アポロシアター・アマチュアナイト公認パフォーマーとされているそうです。
日本でもアポロシアターでの実績を、テレビが取上げ、放送されるなど活躍している。
また、小中学校ろう学校などを回り子供たちとダンスと手話を通じて笑顔になろう!と活動を続けている。
手話を取り入れたパフォーマンスは、ろう者のコーディネーターと一緒に制作をして、正確なものにしている。

HAND SIGNまったく無名の5名の若者が始めたパーフォーマンスが、ひょっとすると、ろうあ者と健常者を結ぶ大きなきっかけを、創るかもしれないと私は感動しました。
自分たちのパフォーマンスのアイデンティティーに手話を取り入れた彼らのコンセプトは、珍しくないような気がするのですが、過去そのようなものは全くなく、独創のパーフォーマンスなんですね。

どうしてなのでしょうか?

私たちの活動も、以前行っていたTHE STUDY ROOMの基本理念が「知ること、学ぶこと」ですし、今のDarwin Roomが「教養の再生」です。
どこかハンド・サインと通底していると思います。
おそらく、まじめなのです。何か世の中に貢献したいというまじめさが共通していると思います。

このようなまじめな理念というのは、あんがい珍しいのです。
珍しいから目立つし、まじめだから嫌われないし、表現が楽しければ応援して頂ける。

私たちDarwin Roomは、もっともっとまじめな理念が登場する時代に期待したいと思います。

アフリカ北部の国境線 先日アリジェリアで、多国籍のテロリストによる多国籍石油プラント施設が襲撃される人質事件が発生し、いろいろなの国の従業員から犠牲者が出ました。その中で日本人犠牲者数が一番多くでました。
 そもそも私たち日本人には馴染みの低い地域であり、なぜそのようなことが起きたのか、背景はどうなっているのか、アルジェリアの周りの国々との関係はどうなっているのか?わからないことばかりです。しかし現時点では、広がる多国籍テロの脅威については、私たちは今後の報道で、新しい知識を得るしかないでしょう。
 そこで、このアフリカ北部の国境線のことはご存知ですか?
 地図上でご覧になれば国境線がまっすぐで、まるで定規で仕切ったような形になっていることをご存知だと思います。
 それがどうしてだかご存知ですか?
 それは、アフリカの国境線は1884年のベルリン会議で決まったもので、当時、ドイツのビスマルク宰相が周辺諸国に働きかけ、アフリカにおける植民地分割を決定しました。欧州の支配国はこの会議で、アフリカで暮らしていた部族やその文化をまったく考慮せず、経線・緯線に沿って国を分け合ったため、今日の地図に見られるような直線的な国境線となったわけです。
P1160476_3 その結果、どのような問題があるでしょうか?
 それは、昔から農民が市場に通ったり、遊牧民が牧草地を求めて季節ごとに移動したりします。それなのに、同じ言葉が話されてきた地域を分断して国境線が引かれたため、植民地から独立しても、同じ言語や文化を持つ人々が複数の国に分割され、異なった民族が同じ国に属するようになってしまいました。
 まずこのように、いろいろな問題を抱えたままの地域であるということを知ることが、今回の事件の背景が、どのようなことなのかと、私たちが理解していけるスタートラインだと思います。

 余談ですが、Darwin Roomでは、アフリカ各地の民族が作った仮面や生活道具、人形などの民芸品を揃えています。それが、お客様から「この商品はどこの国の物ですか?」と尋ねられた時に困るのです。困る理由は、上述のように国のくくり方では説明できないことが多いのですね。だからほとんどが、これはドゴン族の作った物ですとか、民族のくくりでしかお答えできないのです。 


9夕刊 後世に伝えるべき貴重な文化財として、マタギが使っていた狩猟用具が国の重要有形民俗文化財に指定されたという記事が、2013年2月9日朝日新聞(夕刊)に有りました。(写真・イラストは同紙より)
 そこで、マタギってどんな人か?
秋田県北部の山間の集落に住み、イラストの狩猟用具を使って、クマやカモシカなど野生の鳥獣を獲物として捕らえる生活をした人々のことだそうです。
マタギ発祥の地とされるのは、秋田県北秋田市の森吉山(もりよしざん:標高1,454m)のふもとに広がる阿仁(あに)地区だそうです。
マタギという言葉の意味は、山に入り、マダ(シナノキ)の樹皮をはぐ「マダハギ」と呼ばれる人々の呼び名が変化したそうです。また、山々を「またいで」狩猟をしていたことから名が付いたとする言い伝えもあるそうです。
マタギの狩猟方法は、5~30人単位で一緒に行動する集団猟が基本で、山の生態を知り尽くすリーダー役が指示を出し、クマの場合、見張り役、狙撃役、獲物を追いかける役の分担で行ったそうです。
今回文化財として国が指定するのは、阿仁マタギが実際に使っていた狩猟用具の数々で、行商の時にも使う用具も含む293点です。指定後、地元の北秋田市が管理し、「もの」の保存だけではなく、マタギの儀式や言葉、ふるまいや暮らしぶりを伝えて行きたいと言う。
 山に生き、野生動物と向き合ってきたマタギ文化の歴史的な価値を、狩猟用具や記憶が散らばり、失われてしまうのを防ぐだけではなく、荒れていっている地方の山々を見つめ直す機会になれば良いですね。

iPhone中国・北京の大気汚染はひどいですね!
あの遠くの景色が見えない、微細な塵が霧のように景色を閉ざしている様は、息が詰まります。
私は三重県・四日市の生まれで、小学生の頃に有名な大気汚染の四日市公害を経験しているのですが、北京の景色はそれどころではないでしょう。
しかし、北京の景色は見えるからその恐怖は感じられますが、目に見えないから実感しづらい放射能汚染にまみれた日本のことはどうなのかと考えてしまいます。
どうも、私たちは目に見えないものには深く考えないというところがあります。
例えばスマートフォンはどうでしょうか?
私はiPhoneがないと暮らせないほど依存した生活をしています。実に便利で、最近は肉声の電話をすることがめっきり減ってしまいました。考えたことを記録しておくのも、調べごとをするのも、仕事の連絡をするのも、お金の振込も、目覚ましも、電車の乗り換えを調べるのも、訪問先の道順を調べるのも、自分が今どこにいるのかを知るのも、遠く離れて散らばった級友との愚痴談義までも何もかもiPhone1台で出来てしまいます。
果たしてこの便利なインターネット環境に浸かった生活の行く末はどのようなことになるのでしょうか?
近くの妻や子供への伝達もメッセージ・チャットを使ってしまいます。
家族の在り方まで変って行くと思います。
それだけにとどまらないでしょう。学校の学び方、経済活動や都市と地方の在り方、世界との繋がり方まですべて根本的な構造が変化して行くと思われます。 
この目に見えない生活の変化は、環境汚染のような公害と同じように、私たちの精神に影響を与えるのではないでしょうか?まだ始まったばかりの新しい暮らし方のことですが、10年後を予測する仮説を立て、課題対策も必要となって来てると思います。

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